最後に生えてくる親知らずは現代人のお口の中のトラブルメーカー。
抜いたほうがよい場合もあります。
第三大臼歯は、大臼歯の一番奥に生えてくる歯です。
智歯または親知らずと呼ばれます。
「親知らず」とは、18歳を過ぎて24歳ぐらいまでに生えることが多いので、すでに親元を離れている頃で生えたことを親は知らない、という意味だといわれています。
他の臼歯に比べるとぐっと小さく、形は変異に富み、噛みあわせ面のデコボコが少なく噛みあわせにあまり関与していません。
まったく生えない人も増えていますし、生えたとしても位置が違ったり、捻じれていたり、傾いていることが多いのです。
生える時期はまちまちで、個人差が大きいです。
現代の子供たちは、あごの成長が少なく、逆三角形の顔が多く見られます。
これは退行性進化と呼ばれ、食べ物の形や硬さ、種類などによりあごの成長が変化しているのです。
ファストフードに代表される軟食、噛み応えのある根菜類の摂取不足、小食などの食生活の変化のなか、よく噛んで食べ、あごがガッチリしていたかつての世代とは異なり、第三大臼歯が生える余地がありません。
いちばん最後に生えてくるため、先に生える歯に場所を奪われてしまうのです。
そのため、埋伏といって、あごの中に埋まっていて歯が生えてこない状態や、半埋伏といって少しだけ歯が見えていてもまっすぐ生えてこない状態が多く見られます。
こんなことに注意しましょう!
第三大臼歯はいちばん奥にあるため、もともと歯磨きが難しく汚れのたまりやすい歯です。
虫歯になりやすく、まして半埋伏の場合、歯ぐきに汚れのたまりやすい溝やくぼみができてしまうために、智歯周囲炎が起こりやすいなどの問題が発生します。
第三大臼歯は噛み合わせに関与することが少ない上、出っ張ったり、捻じれたり、傾いているために上あごの歯とぶつかって噛み合わせを悪くし、下あごがずれたり顎関節症を引き起こすことがあります。
このようなトラブルが現在起こっていたり、将来予想される場合、抜歯が必要なことがあります。
また第三代臼歯の生えること自体が、第二大臼歯や小臼歯、前歯などの歯を前に押して移動させ、歯並びを悪くすることがあります。
矯正をする前に第三代臼歯を抜くことがあるのはこのためです。
痛みがある、腫れている、口を開きにくい、顎関節症のようで気になるなどの症状がありましたら、お早めに歯科医院にご相談下さい。
歯を大切にして長く使い続けるには、予防がいちばんです。
かかりつけ歯科医を持ち、定期的に受診して、歯の生え変わりなど、年齢ごとに変化していくお口を継続的にチェックしてもらい、ケアのポイントについて指導を受けましょう。